日本酒のきほん

【精米歩合】日本酒を作るときの精米技術を解説

日本酒には必ず精米歩合の表示があります。

精米歩合を見ることで、どれくらい削られた(磨かれた)お米から造られたお酒かということがわかります。精米歩合の違いで日本酒の味わいは大きく変わってきます。

この記事では、精米歩合について掘り下げてお話をしてみます。

これを読めば、「精米歩合」の意味がわかます。

 

なぜ精米が必要なのか

食べるお米(飯米)にも、玄米と白米があります。

白米は玄米の表面を削り、糠(ぬか)と呼ばれる部分を取り除いたお米です。。日本酒を造る際に使用する酒造好適米(酒)も、食用のお米と同じように玄米の外側を削ります。

この工程を「精米」といいます。

酒米の場合はただ糠(ぬか)のみを削るのではなく、どのようなお酒を造りたいかということによって、お米の白い部分も削っていきます。(酒米を削ることを「磨く」とも言います。)

お米の白い部分まで精米をする理由は、主に「日本酒の味の調節」です。

お米は表面に近いほど、ビタミンやたんぱく質、脂質が多くなります。

これが多すぎると、酵母の発酵の働きを働きを過剰に促進してしまうことで、完成したお酒の雑味が多くなったり、香りが悪くなってしまうといわれています。

そのため、精米によって米の外側を削ることで、なるべく中心に近い部分の純粋なデンプンを使ってお酒を造るわけです。

 

精米歩合とは

精米歩合とは、「お酒造りに使う白米の、玄米に対する重量の割合」のことです。

例えば、精米歩合2割3分(23%)とは、100キロの玄米を精米して23 kg の白米にすることを言います。
これを「 見掛け精米歩合」と言います。

重要なのは「真精米歩合」

吟醸酒や大吟醸酒は、米一粒一粒の実が枯れ具合にばらつきがあったり砕けた米があったりしたら、作られたお酒の質を落とすことになりかねません。

そこでより正確にするには、実際に得られた米粒1000粒と音の玄米1000粒とを比較します。
1000粒単位で精米歩合を精査することになるので、より品質の高い酒作りができます。
これを「真精米歩合」と言います 。

お酒造りでの精米において重要とされているのはこの「真精米歩合」です。

精米歩合とお酒の味の関係

お米の外側ほどタンパク質や脂肪などが多いので、精米歩合が高い(精米率が低い=あまり削っていない)お米で作ったお酒は味が濃く旨味が多いお酒になり精米歩合が低い(精米率が高い=たくさん削った)お米ほど白い米になっていき、すっきりと香りが高いお酒になります。

食用のお米では精米歩合はおよそ90%くらいです。

タンパク質や脂肪は精米歩合70%ぐらいまでは急速に減少しますが、70%を超えると現象の割合が緩やかになり、50%から60%ぐらいで糠(ぬか)はほぼ削り取られます。

そのため、50%から40%ぐらいが一般的には上限とされています。

お米を磨けば磨くほどお酒の雑味が減り、香りが良くなるのかと言うとそうとは限りません。

実は精米歩合が低いほどに、いわゆる吟醸香と呼ばれる香りが立ちやすくなるかわりに、米の甘みもなくなってしまいます。

しかし、最近では日本酒を作る技術が上がっていることもあって、精米歩合が20%台(獺祭二割三部が有名)や、それ以下の日本酒も出てきています。

 

精米機はハイテク技術の塊

精米に使い機会も、食用のお米の物とは違います。

醸造用精米機の専門メーカーというのがあるくらいです
引用:新中野工業 醸造用精米機メーカー
http://www.iidagroup.co.jp/sinnakano/

このような専用の精米機を使用して、「全自動コンピューター制御」で正確な割合でお米を削っていくことになります。

とはいえ、いくらコンピューター制御で行っているとは言っても、お米の状態な気温、湿度など精米を行う条件は様々なので、コンピューターに情報をインプットする人間の知識と経験が必要なのは昔も今も変わりません。

精米歩合70%(30%を削る)でおよそ8時間もの時間がかかるそうです。精米歩合が50%だと、なんと40時間以上も時間をかけて削ることなるそうです。

精米歩合が低い(精米率が高い)美味しいお酒造りは、科学や工業技術の進歩の賜物なんですね!

 

精米後に行われる「枯らし」

精米後のお米はすぐにお酒作りには使われません。最長で1ヶ月くらいの間、袋に詰めた状態で保管されます。

精米直後の米は、長時間の精米の工程による摩擦熱で水分が飛んでしまっています。

その状態お米を水につけると急速に水を吸うことで、蒸し米を作る時にべたついたものになりやすくなってしまいます

そのため一定時間お米に空気中の水分を吸湿させて、水分含有率を整えておく必要があります。

精米したばかりの米は表面が乾燥して中心部の水分が多い状態ですが、「枯らし」を行うことでお米全体の水分が均一になりますし、水につけた時に米が割れにくくなります 。

 

削られたお米は再利用される

低い精米歩合のお酒を造ることで、糠(ぬか)も多くなります。精米歩合5割だと、お米の半分は削られてしまうことになります。

もったいなような気がしてしまいますが、実はそれも無駄にせずに様々な形で再利用されています。

糠は農家で稲作りの肥料にしたり家畜の飼料にしたりします、ぬか漬けの原料にもなります。

内側の白糠の部分は米粉としておせんべいや団子といったお菓子の他、米パン屋米麺の材料にも使われています。山田錦を使用したせんべいというのも登場しています。

削ったお米も余すことなくいろんな用途に利用されているんですね。

 

まとめ

日本酒は精米においても高度な技術で行われているということがわかっていただけたでしょうか?

美味しい日本酒を味わえるのも、様々な酒蔵だけでなく様々な科学技術や機械によって支えられた精米技術がある、ということがお判りいただけましたでしょうか?

以上、精米歩合と精米技術についてのお話しでした。

 

 

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