先日、法事で田舎のおじと話す機会があったんですけど、その時に昔日本酒には一級酒、二級酒、特級というのがあった、という話を聞きました。
全然聞きなれない言葉だったので、どのようなお酒の分類だったのか調べてみました。
日本酒の歴史にかかわる話でした。
現在とは違う昔の分類の話になります。
参考:https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/sake/type/type02.html
参考:http://www.kikunotsukasa.jp/column/archives/3468
ウィキペディアもこのあたりの情報はよくまとまっています。
「一級酒」「二級酒」「特級酒」ってなに?
「一級酒」「二級酒」「特級酒」というは1940年(昭和15年)から始まった、日本酒の分類体系です。
このころは日中戦争が起こるなど日本国内が混乱していた時期で、主食であるお米が不足していた時期でもありました。
そのため、水増しされた薄いお酒が流通するなど品質に問題があるものが多く出回っていました。
金魚が泳げるくらい薄い酒ということで、金魚酒なんて名前で呼ばれていたこともあるそうです。
そこで日本酒の品質を維持するために、つくられたお酒を政府が監査してアルコール度数と酒質によって分類しようとして定められたのが「特級」「一級」「二級」という分類でした。
この分類には「五級」まであり、この制度は級別制度と呼ばれています。
この「級」の表示が政府によって市場に流通させて良いお酒というお墨付きの代わりでもありました。
その後、1941年に始まった太平洋戦争のときに酒類は配給制になった後1949年には酒類販売が自由化されたタイミングで、級別制度は「特級」「一級」「二級」の三段階に変更になり、それぞれの級によって酒税の割合が定められることになりました。
級別制度は問題がある制度だった
アルコール度数に基づいて「特級」「一級」「二級」の3段階に分けるシステムは、日本酒の品質と対応していないという大きな問題がありました。
アルコール度数だけで日本酒のおいしさがわかるわけが無いので、それは当然ですよね。
そのため、日本酒を作っている酒蔵の中には政府がつくった制度に反発して、つくったお酒を監査しない二級酒として販売するところもありました。
そのため、特級酒よりも美味しい二級酒が登場するなど、消費者にとってはますますわかりづらい状態になっていきました。
「特撰」「上撰」「佳撰」の日本酒ってなに?
「特撰」「上撰」「佳撰」という名前が付いたお酒もありますが、これは何かも気になって調べたところ、これはメーカーがお酒選びの基準になるように独自にランク付けした呼称です。
引用元:https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/sake/type/type02.html
その名残で月桂冠では現在も「特撰」「上撰」「佳撰」という商品があります。
月桂冠ではその等級に見合う酒質になるように、お米の品質、精米歩合、発酵時間などの違いによってランク付けしていたそうです。
このような作り方の違いと官能検査(きき酒=味見)によってランク付けし、消費者のお酒選びの目安になるようにしているそうです。
「級別制度」から「特定名称酒」へ
そのため、1990年に「級別制度」に代わって登場したのが、「特定名称酒」制度です。
「純米大吟醸酒」「純米吟醸酒」「純米酒」「大吟醸酒」「吟醸酒」「特別本醸造酒」「本醸造酒」という分類に分ける特定名称酒制度がつくられ、それが現在まで続いています。
日本酒級別制度は1992年(平成4年)に完全に撤廃されました。
「特定名称酒」はお酒選びの目安になる
「特定名称酒」の表記は、それだけでお酒の特徴がすべて分かるというものではありませんが、 ある程度の目安にはなるので、 級別制度に比べて客にとって役に立つ表記になっていると思います。
それに加えて、現在ではお米の銘柄や精米歩合などさまざまな情報をラベルに表示されているのでわかりやすいですね。
一応、以前書いた記事に特定名称酒について書いています。
逆に情報が多くてわかりづらいということもあるかもしれませんが、少しだけ勉強すればある程度どんなお酒かがわかるようになります。
現在は普通に利用されている純米吟醸などの特定名称酒の表記は、ここ最近の30年くらいの歴史の制度なんですね。
まとめ
・「一級酒」「二級酒」「特級酒」の分類は1990年まで存在した分類
・級別制度と呼ばれていた
・1992以降は廃止されて現在まで続く特定名称酒制度に移行した
現在の特定名称酒制度は、お酒の好みに合わせて選ぶにはある程度目安になります。
この制度がつくられたのも、級別制度に対する批判があったからなんですね。