日本酒と文化

僧坊酒ってなに? 「菩提泉」や「天野酒」についても解説

日本酒の歴史を語る上で外すことができないのが「僧坊酒(そうぼうしゅ)」というお酒です。

僧坊酒は日本酒の起源ともいわれるお酒なんです。

ここでは僧坊酒についてお話しします。

参考文献:日本酒の基礎知識 新星出版社

僧坊酒(そうぼうしゅ)とは?

僧坊酒(そうぼうしゅ)とは、お寺で作られていた日本酒(=清酒)のことです。

僧侶や坊主がつくったお酒、みたいな感じでつけられたネーミングだと思います。

西暦1000年くらいの平安時代から安土桃山時代にいたるまで、日本における高級酒として盛んにつくられていました。

 

日本では奈良時代(西暦710年~794年)から宮廷の中でお酒造り行われていました。

奈良時代には「酒部(さかべ)」と呼ばれる専門の機関があり、平安時代には「造酒司」という名前に変わって存続していました。 

その後、平安京の官庁の衰退に伴ってお酒造りの人材や技術が民間へ流出することになり、お酒造りの中心が官庁からお寺に移ることになりました。

このようにしてお酒がお寺でつくられるようになり、お寺で作られたお酒が「僧坊酒(そうぼうしゅ)」と呼ばれるようになりました。

お寺は室町時代から鎌倉時代にかけて日本の高級なお酒造りの中心となっていきました。

 

僧坊酒は室町時代まで高い評判を誇り、奈良県のお寺が作った「南都諸白(なんともろはく)」、大阪(河内)の「天野酒(あまのさけ)」などの様々なお酒が存在しました。

 

室町時代には僧坊酒は高級酒として支配階級の間で人気になりました。

鎌倉時代の後期から室町時代の初期の時代、お寺は農村では一揆が繰り返し発生するなどの治安の悪化が原因で経営状態が悪くなりましたが、お酒の製造販売がお寺の経済的な危機を救ったという歴史的な経緯がありました。

 

「南都諸白(なんともろはく)」とは

菩提山正暦寺

引用元:菩提山正暦寺 http://shoryakuji.jp/sake-birthplace.html

南都諸白(なんともろはく)」は、奈良県を中心に広がった日本酒(=清酒) です。

菩提山正暦寺で作られた「菩提泉(ぼだいせん)」をつくった技術が奈良県のお寺に伝わり、現在の日本酒作りの元になる技術が生まれました。

諸白とは、 麹米(麹づくりに使用されるお米)と掛米(もろみを作るのに使用されるお米)の両方に白米を使ったお酒のことです 。(ちなみに玄米を使って作ったお酒は「片白」と呼ばれたそうです)

当時は奈良県の地方は「南都」と呼ばれていたので、「南都」でつくった「諸白」で「南都諸白(なんともろはく)」という名称になったそうです。

 

南都諸白(なんともろはく)」のすっきりとした味が人気になったことで、近畿地方では地名の名前が付けられた「諸白」が多く誕生しました。

このような歴史的経緯から、「南都諸白(なんともろはく)」の中心となった菩提山正暦寺は、日本酒発祥の地と言われています。

参考:清酒発祥の地 菩提山真言宗 大本山 正暦寺

 

きもと造りの原型である「菩提もと」、低温殺菌による火入れ技術や段仕込みなど現在の日本酒作りの元となった技術が「 僧坊酒」から始まりました。

 

 

菩提山正暦寺の「菩提泉」

僧坊酒の元になったのが奈良県の菩提山正暦寺がつくった「菩提泉(ぼだいせん)」です。

生酛の元になっている「菩提酛」はこのお酒が語源となっています。

菩提泉(ぼだいせん)」は、室町幕府の8代目将軍の足利義政に「天下の銘酒」と言われたと伝えられた銘酒です。

 

菩提山正暦寺の境内からとれる乳酸菌を含んだ水で作られた酒母が奈良のお寺に広がったことが「南都諸白(なんともろはく)」の誕生に大きく貢献しています。

 

「菩提酛」による「菩提泉」は、平成8年に復活させる事業がスタートし平成10年に完成。

現在奈良県の酒蔵がつくっていて、現在も飲むことができます。

参考:菩提もと開発 奈良酒専門店 なら泉勇斎

 

豊臣秀吉が愛した「天野酒」

僧坊酒には、「天野酒(あまのざけ)」と呼ばれる豊臣秀吉が愛したといわれるお酒があります。 

「天野酒」は現在の大阪にある天野山金剛寺でつくられていた僧坊酒で、僧坊酒の生産量が減少した安土桃山時代の後期まで生産が続けられました。

豊臣秀吉が天野酒が大好きで、天野山金剛寺にお酒の醸造に専念するように命令した、という話が残っているそうです。

17世紀半ばに製造が一時中止されていましたが、1946年に地元の酒造メーカーが復活させて現在も販売されています。

西條合資会社という会社が製造販売しています。

日本酒度が-96という超甘口のお酒になっているそう。

豊臣秀吉は甘党だったのでしょうか!?

参考:大阪奥河内の地酒 天野酒 西條合資会社

 

まとめ

以上、僧坊酒の紹介でした。

日本酒の起源ともいわれる僧坊酒。

現在も飲むことができる銘柄もありますので、奈良や大阪への旅行のついでにお酒販売コーナーをのぞいてみるのも面白いかもしれませんね。

特に、大阪はあまり日本酒づくりのイメージはありませんでしたが、もっと探せば地元でしか買えないような面白いお酒があるのかもしれないですね!

 

 

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