ラベルに「本醸造酒」と書かれた日本酒があるのを見たことがありますか?
本醸造酒がどのようなお酒なのかを知っていますか?
ここでは、本醸造酒の特徴や味わいについてお話しします。
本醸造酒ってなに?
本醸造酒は、酒税法で「特定名称酒」とされているお酒の1つです。
精米歩合70%以下
原料は米、米麹、水と醸造アルコール
醸造アルコールの割合は米の重量の10%まで
という条件で造られたお酒に「本醸造酒」と表示することができると法律で定められています。
酒税法というお酒にかかる税金関わる法律で決まっていることなので、これは厳密に守られています。
「純米酒」は米、米麹、水のみで造られているお酒ですが、本醸造酒にはこれに醸造アルコールが添加されているのが特徴になります。
なぜ醸造アルコールを入れるの?
醸造アルコールとは、主にサトウキビから造られているアルコールです。
サトウキビの糖蜜(糖分を含んだ液体のこと)に酵母を入れてアルコール発酵させて作ったお酒を、蒸留させることによって造られます。焼酎と呼ばれているお酒と同じものになります。
日本酒造りでは、醸造アルコールは発酵中の醪(もろみ)に添加されることになります。
もともと醸造アルコールを入れるのは防腐が目的でした。
造っているお酒が腐造を起こすことは酒蔵の経営が傾きかねない大問題なので、これを防ぐことはものすごく大切なことでした。
しかし、現在はお酒造りの技術が向上しているので腐造を防ぐという意味で醸造アルコールを添加するという意味は薄れてきています。
現在、本醸造酒に醸造アルコールを入れる理由は、2つあります
飲み口をスッキリとさせる
添加されている醸造アルコールが辛口の味わいのため、これが添加されている日本酒も辛口になります。
お米の旨味を活かしつつもすっきりとした飲み口、というのが本醸造酒の味の特徴です。
香りを立たせる
醸造アルコールを入れることで、お酒の香りをより立たせることができます。
日本酒のフルーティで華やかな吟醸香と呼ばれる香りの成分は、水よりもアルコールによく溶ける性質があります。
お酒を絞った後の酒粕にもアルコールが残るわけですが、醸造アルコールを入れることでより多くの香りを日本酒の中にとどめることができるのです。
酵母のアルコール発酵を止める
醸造アルコールはおよそアルコール分が30%くらいの濃度のものが添加されます。
アルコール分が20%を超えると酵母が死滅します。醸造アルコールを添加しない場合は酵母は自信が作り出したアルコールによって死滅することになります。
造りたいお酒の質に応じて、アルコール発酵を止めたい場合に醸造アルコールを添加されることがあります。
実際に本醸造酒を飲んでみた
近くのスーパーの地酒コーナーで本醸造酒を選んで買ってみました。
「一ノ蔵 辛口本醸造」です。価格は381円。リーズナブルなお酒です。
一ノ蔵とは?
一ノ蔵は宮城県大崎市にある酒蔵です。大崎市には11社の酒蔵があるそうです。
実は深く考えずに選んだお酒だったのですが、かなり評判のいい酒蔵のようです。
実際に飲んでみました。
お酒の色は無色透明です。
醸造アルコールが添加されているお酒はアルコールが前面に強く出てくるお酒が多い印象でしたが、
このお酒は口当たりがよくてかなり飲みやすい印象です。
辛口でキレがいいのですが、ほのかにお米の甘さも感じる美味しいお酒です。いや、本当に美味しい。
醸造アルコールが添加されているお酒への偏見を持っていましたが、きちんと造った本醸造酒は美味しいということがわかりました。
食べ物との相性はどうか
私はアルコールにあまり強くないこともあり、お酒をいただくのは食事と一緒の時にしています。食べ物があるのとないのとでは、アルコールのまわり方が全く違います。
というわけで、食事と一緒に飲んでみました。
一ノ蔵の本醸造酒はお酒だけで飲むと淡麗辛口の美味しいお酒、という感じだったのですが、食べ物と一緒に食べると少し味が弱い感じがします。
魚料理などの淡白な味わいの料理だとまだいいのですが、唐揚げなどの脂っこくて味が濃い料理だと如実にお酒の味が薄く感じてしまいます。
繊細な味のお酒ですので、お酒だけで飲むのが一番おいしいかもしれませんね。和らぎ水をしっかりと飲みながらいただきたいと思います。
まとめ
・本醸造酒には醸造アルコールが入っている。
・本醸造酒は、醸造アルコールを入れることで香りと味の向上を図っている
純米酒もかなりの種類があるみたいです。
本醸造酒の中でも特別美味しい(私の口に合う)お酒だったので、機会があれば他のお酒も飲んでみたいと思います。
醸造アルコールを添加している、いわゆる「アル添」酒にも美味しいお酒があります。
偏見を持たないで、良いお酒を楽しみたいと改めて思いました。