「生酒」は、「火入れ」と呼ぶ60℃ほどの加熱処理を一度もしない酒です。「なまざけ」「なましゅ」と読みます。
ここでは生酒の説明をします。
また、「生詰め酒」「生貯蔵酒」「原酒」についても一緒に解説します。
生酒とは
生酒とは、「火入れ」と呼ばれる加熱処理を全く行わないお酒のことです。「本生(ほんなま)」「生々(なまなま)」とも呼ばれます。
醪(もろみ)を発酵させたのちに搾る作業を行うことで日本酒は作られますが、その際、「火入れ」と呼ばれる熱を加える工程(加熱殺菌)を行います。
①醪(もろみ)を搾った後、貯蔵する直前のタイミング
②貯蔵したお酒を出荷するタイミング
日本酒は通常、この2回のタイミングで「火入れ」行われます
「火入れ」とは日本酒の劣化を防ぐために必要な工程です。日本酒は火入れをしないと、火落菌と呼ばれる菌や酵素の影響で、貯蔵中に腐敗したり劣化したりする可能性が高くなってしまいます。貯蔵から流通の都合上、最低限必要な工程なんですね。
安定した品質の日本酒を造るには欠かすことのできない作業ですが、「火入れ」を行うことによっても、香りや味わいが変わってしまいます。
参考
「きざけ」と生酒を読ませる場合があり、この場合には「まぜものの無い純粋な酒」というの意味になります。
生酒の特徴
加熱処理によって飛んでしまう香りの成分が生酒には残っています。フルーティーでフレッシュ、さわやかな風味と飲み口が生酒の魅力です。
口当たりが柔らかく炭酸が残っているお酒もあります。日本酒が苦手な方にも比較的飲みやすいお酒です。
加熱処理を行っていないため酵素や微生物が生きています。そのため劣化が早いという特徴もあります。
なるべく冷蔵保存をして、開封後は素早く飲み切ってしまう必要があります。
生貯蔵酒とは
生貯蔵酒とは生酒の状態で貯蔵したお酒です。
②貯蔵したお酒を出荷するタイミング
のみで火入れしたお酒のことです。
火入れの時間が短いことで搾りたてのお酒の新鮮な風味を残しながら、常温での流通、保存も可能なのが特徴となっています。
とはいえ、火入れの時間が短いことで通常の日本酒よりは劣化しやすいので、冷蔵で保存して開封後はなるべく早く飲み切るのが美味しく飲むためのコツになります。
生詰め酒
「生詰め酒」は、
①醪(もろみ)を搾った後、貯蔵する直前のタイミング
の1回のみ火入れをしたお酒のことです。
貯蔵した後に瓶詰めする前に火入れをしないので、「生詰め酒」と呼ばれています。
ひやおろしと呼ばれる、夏の間に寝かせて熟成させ、秋に外気温と貯蔵庫の温度が同じくらいになる頃にその風味を楽しむお酒ががありますが、このようなお酒が生詰め酒になります。
原酒とは
原酒とは、醪(もろみ)を搾った後そのままの日本酒になります。
搾った直後のお酒は、アルコール度数が20度前後になっています。これに水を加えることでアルコール度数を調整(加水・割り水と呼ばれる工程です)することをと言い、飲みやすいアルコール度数である15度前後に調整するためにこの作業を行います。
原酒はこの加水が行われていないお酒になります。
熟成酒 古酒
新鮮さが大切といわれる生酒ですが、栓を開けないままで保存状態が完璧であれば、美味しい酒に熟成させることもできます。これがいわゆる「熟成酒」と呼ばれるものですね。
また「古酒」とは、製造年月から1年以上たってから出荷されるお酒のことです。2年以上経っているお酒は「古古酒」と呼ばれることもあります。
製造から保存までの手間がかかるため、比較的に高価なお酒が多いのも特徴です。
まとめ
生酒は保存方法がとても難しくデリケートなお酒ですが、フレッシュさを楽しんだり熟成させたりといろいろな楽しみ方ができるお酒なんですね。