洗米の前に「枯らし」が行われる
精米されたお米は、その後「枯らし」と呼ばれる工程で冷暗所で2〜3週間寝かせる工程に入ります。日本酒造りの精米作業は何十時間もの時間をかけて行われるため、お米が摩擦熱を持った状態になり水分も失ってカラカラに乾いた状態になっています。
この状態のお米を水に浸けてしまうと、割れてしまったり水分が均一に吸水されないため良い蒸し米ができません。
そのため、「枯らし」によってお米の摩擦熱を冷やすとともに、空気中の水分を適度に吸湿させる必要があるのです。
洗米
ご飯を炊く前に、米を研ぐのと同じように白米を水で洗い落とす工程を「洗米」といいます。お米を水で洗うことで、精米後のお米についている糠(ぬか)を洗い流します。
食べるためのお米の精米する際に削られる割合は玄米の表面の10%ほどですが、日本酒造りの場合は多い場合で半分以上が削られているため、非常に割れやすい状態となっています。そのため、丁寧にかつ素早く洗う必要があります。
また、たくさん削られたお米は水分を吸収しやすくなっているので、素早く作業を行う必要もあります。
普通酒に使用されるようなお米は洗米機で一度に大量に洗米作業を行いますが、純米吟醸酒などの高級なお酒を造る米は、未だに手作業で少しずつ洗米されていることもあるそうです。
このように、お酒造りの洗米は食用のお米の洗米とは違った繊細さが必要になる作業です。
浸漬
洗米が終わったお米を蒸す前に水に浸けて吸水させる工程を「浸漬」といいます。
精米歩合が低い(削られる割合が高い)お米ほど、水を吸い込みやすくなりますし、お米の品種によっても変わります。また、水温や室温によっても変わってしまいます。
このため、「浸漬」は熟練の職人さんでも非常に神経を使う難しい工程といわれています。
「浸漬」の時間は、お米の品種や目指すお酒の質によって、数時間ということもあれば数分という場合もあります。
事前にお米がどれくらいの時間でどれくらい吸水するかのテストを行い、特に高級酒の場合はストップウォッチを使って秒単位で吸水時間を管理しています。浸漬の工程の繊細さがわかりますね!
八海山で有名な八海酒造では、吟醸酒用の洗米機があるそうです。
参考:八海酒造 2種類の洗米機
吟醸酒用の洗米機はコンピュータ制御で洗米時間から吸水時間を制御し、また完全に水の流れの力だけで洗米を行うため、手作業で洗米を行うのと同じくらいやさしく繊細にお米を洗うことができます。
まとめ
お米を洗って水に浸ける、という作業ですが、お酒造りにおいては非常に繊細で難しい作業ということがわかりますね。
洗米と浸漬を行ったお米は、その後1晩お米の水分が均一化させるために「枯らし」を行った後、「蒸す」工程に入ります。
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