日本酒には「特定名称酒」と呼ばれるお酒があります。
その中でも特に高級なお酒に「吟醸」という名前が付けられています。
ここではそんな「吟醸酒」についてお話しします。
吟醸ってなに?
吟醸酒とは吟醸造りをされたお酒のことです。
吟醸造りとは、「吟味されて醸された造り方」のことです。国税庁の説明によると、
吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、粕(かす)の割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造することを言います
という説明がされています。
吟醸酒は一般的に、精米歩合60%以下に磨いたお米を、10℃前後の低い温度で長時間(1か月近く)かけて発酵させて造られた日本酒のことを言います。
低温で発酵させることで、香りの成分が空気中に飛んでしまわずに醪(もろみ)の中に多く残すことができるわけですね。
このように、時間と手間をかけて造られた日本酒は「吟醸香」と呼ばれるフルーツの香りにも例えらえる豊かでさわやかな香りがする吟醸酒になります。
吟醸酒と大吟醸酒の違い
吟醸酒・・精米歩合60%以下の白米と米麹及び水、またはこれらと醸造アルコールを原料として吟味して造った清酒で、固有の香味及び色沢が良好なものです
大吟醸酒・・精米歩合50%以下の白米と米麹及び水、またはこれらと醸造アルコールを原料として吟味して造った清酒で、固有の香味及び色沢が特に良好なものです。
吟醸酒と大吟醸酒の違いは、精米歩合です。
吟醸酒は精米歩合60%以下(お米を玄米の状態から40%以上削ったもの)
大吟醸酒は精米歩合50%以下(お米を玄米の状態から50%以上削ったもの)
という違いがあります。
お米は中心に近い部分ほどでんぷん質が多くなり、表面に近いほどアミノ酸などでんぷん以外の成分が多くなります。アミノ酸は旨味の成分でもありますが、お酒の雑味の原因にもなります。
お米をよく磨く(たくさん削る)ことで、より雑味の少ないクリアな味わいになり、香りもよりフルーティーでさわやかなものになります。
大吟醸酒と純米吟醸酒の違い
純米吟醸酒は「純米酒」という種類の日本酒になります。
純米酒とは、米、米麹、水という原料のみで造られた日本酒です。
純米大吟醸酒とは純米酒の大吟醸酒になるので、
米、米麹、水のみを原料にした、精米歩合50%以下の吟醸造りの日本酒
ということになります。
大吟醸酒は米、米麹、水に加えて、醸造アルコールを添加されているのが特徴です。
大吟醸酒と純米大吟醸酒の違いは、醸造アルコールが添加されているかどうか、ということになります。
なぜ大吟醸酒や吟醸酒に醸造アルコールが添加するのか
醸造アルコールは、サトウキビなどを原料としたお酒です。色や香りがほとんどないため、日本酒の風味のジャマにならないのが特徴です。
なぜ、日本酒にわざわざ醸造アルコールを添加する理由は、主に2つあります。
味がスッキリさわやかになる
日本酒に含まれている糖分の甘みや、酸味の成分がアルコールによって抑えられるため、スッキリとした味わいになります。
大吟醸酒は辛口のお酒が多いのが特徴です。
香りが良くなる
醸造アルコールを添加することの一番の目的は、香りをよくすることです。
独立行政法人 酒類総合研究所が主催して毎年開催している、全国新酒鑑評会では、香りの良さが評価されることが多いため、醸造アルコールが添加された大吟醸酒が出品されることが多いそうです。
吟醸酒の吟醸香と呼ばれる香りの成分は、水よりもアルコールによく溶ける性質があるため、お酒を搾る前の醪(もろみ)にアルコールを添加することで、吟醸香の成分をより多くお酒に移すことができます。
吟醸酒造りで醸造アルコールが添加される理由は、香りや味を良くするために行われているんです。
大吟醸酒を実際に飲んでみた
今回購入したお酒はこちら
「大吟醸 越後桜」です。
淡麗辛口で有名な新潟県のお酒です。
飲んでみた感じは、かなり辛口のお酒でした。そして後味スッキリ。香りも良いですね。
味の深みや旨味ではなくて、香りの良さと口当たりの良さが特徴のお酒ですね。
醸造アルコールをいれることで香りが良くなる半面、発酵を途中で止めることになるので味の深みや旨味よりも、香りやキレが優先された味わいになります。
日本酒の初心者向けではないかもしれませんが、辛口の日本酒が好きな人向けのお酒だと思います。
まとめ
・吟醸酒は精米歩合60%以下 大吟醸酒は精米歩合50%以下の日本酒
・吟醸酒と大吟醸酒には醸造アルコールが添加されている。
・醸造アルコールを入れるのは、口当たりをスッキリさせることと、香りをよくすることが目的