八海山のラベルには、酒母の名前が書いています
参考:http://www.hakkaisan.co.jp/sake/regular
使用酒母に「協会701」と書かれていますね。
実は日本酒造りの酵母にもたくさんの種類があります。
ここでは日本酒造りの酵母「清酒酵母」の種類についてお話しします。
協会系酵母「きょうかい酒母」
「協会701」という酒母は、日本醸造協会という組織が開発、販売している酵母のことです。
この、日本醸造協会で販売している酵母のことを協会系酵母と呼ばれていて、きょうかい酵母とひらがなで書くのはブランド名です。
現在、ほとんどの酒蔵は協会系酵母を使用して日本酒造りを行っています。
ちなみに、酒蔵に生息している独自の酵母のことを蔵付き酵母と呼ばれています。
お酒を造るのには免許が必要なので、酒類製造免許を持たない一般の人は購入することができません。
泡あり酵母と泡なし酵母
醪(もろみ)が発酵するときにブドウ糖をアルコールに変換する際に二酸化炭素(炭酸ガス)を同時に作ります。これが泡になります。
昔、杜氏を始めとしたお酒造りに携わる人は、醪(もろみ)の泡の状態を見て発酵の進み具合を確認していました。
そして、発酵が盛んにおこなわれているときは、泡がお酒の仕込み樽からこぼれるのを防ぐために、夜中の間泡を見守る「泡守り(あわもり)」という役割の人をおく必要がありました。
しかし、昭和の時代に入ってから、発酵するときに泡を出さない酵母が発見されました。
このような突然変異で生まれた「泡なし酵母」はすべての種類の酵母で発見され、培養されて商品化されています。
このような泡なし酵母でお酒を仕込むことで泡守りが必要ないなどの利点も多いので、泡を出さないこと以外は泡を出す酵母と同じ性質を持っているため、現在は泡なし酵母で造られる日本酒の方が多くなっています。
協会系酵母(きょうかい酵母)の種類
協会系の酵母は、日本醸造協会に一覧があります。
例えばこのお酒、
参考:http://www.hakkaisan.co.jp/sake/regular
「清酒 八海山」(普通酒)の場合は、「協会701」という酵母が使用されています。
この酵母は「7号」の特徴を持った泡なし酵母なんですね。
発酵力が強く香りが華やかで吟醸酒の発展に大きく貢献した酵母で、現在も最も多く使用されている酵母になります。
また、こちらのお酒、
参考:http://www.hakkaisan.co.jp/sake/ginjo
「吟醸 八海山」の場合は「協会901号」という酵母が使用されています。
この酵母は「9号」という酵母の泡なし酵母で、「協会7号」「協会701号」よりさらに香りが高く、また酸が少ないのが特徴になっています。
1953年ごろに熊本県酒造研究所の保存酵母から分離された酵母がもとになっているそうです。
このように、酵母の種類もお酒の味に大きな影響がありますので、ラベルに表示があったら気にして見るのも面白いかもしれませんね。
ピンク色の日本酒も酵母の作用
「ピンクにごり酒純米 pipipi~ピピピ~」という埼玉県の石井酒造が造ったピンク色のお酒がありますが、このようなお酒も着色しているわけではなく酵母の力で造られています。
現在ではお酒造りは微生物の力で行われていることがわかっていますが、それが知られていない昔は怪奇現象として騒がれていたそうです。
このような赤い色のお酒を造る清酒酵母も日本醸造協会が販売しています。
アルコール度数が低めで、甘いお酒を造るのに適している酵母なんだそうです。
酵母を販売している一般企業もある
参考:http://www.hakkaisan.co.jp/sake/junmaiginjo
「純米吟醸 八海山」には「アキタコンノNo.2」という酵母が使用されています。
この酵母は、秋田県の「株式会社 秋田今野商店」が販売している清酒酵母です。
アキタコンノNo.2という酵母は香味バランスの取れた泡ありの酵母ということだそうです。
酒蔵は作りたいお酒に応じて、酵母を選んでいるんですね。
まとめ
以上、日本酒造りの酵母(清酒酵母)の種類のお話しでした。
日本酒のラベルに表示されている時もありますので、ぜひ注目してみてくださいね。